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交通量の多い県道に接した計画地での新築計画。アートやデザインの仕事をされているご夫婦に対してまず、ご夫婦が考えるデザインの意味についてブレストをし、感性での表現と論理的な思考の両方を無理なく生み出すための「日常」とはどういうものなのかを考えた。「好き」「嫌い」という思考に縛られない自由な発想を生み出す暮らしが日常的にできたら良いと考え、そのためには「暮らしの選択肢」をつくることが重要ではないかと考えた。空間としては広がりをもたせるために2階LDK+勾配天井で計画し、交通量の激しい外部と室内との間に構造材レイヤー(重なり)を設置して曖昧な空間を造り、空間同士のクッション材を計画した。
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外部との中空間に1層の構造レイヤーをつくることで室内が曖昧に囲われるようになり、またその曖昧に空間自体にも居場所を計画した。
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2階LDKの室内空間、構造レイヤーで囲われた外部土間空間、その奥にサッシで囲われた室内土間空間と3つの異なる居場所をつくることで、やりたいことに適した3つの環境を選択できるようにした。
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玄関から2階LDKへの階段(アプローチ)にはご自身の作品や好きなアートを飾るギャラリー的要素を兼ね備えている。階段の手摺は意匠性と実用性を考えて90度のピン角ではなく、指2本が引っかかるように少しだけ平場をつくり、階段を回りやすくしている。
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真鍮目地でヌケ感を表現している。
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空間の広がりを意識した室内勾配天井と構造レイヤーによる外観により差別化を図っている。
暮らしを「セレクト」することが思考にゆとりと幅をもたせる。それを実現するためには少しだけ囲われており、感覚として守られているという空間を形成することが重要。外部との間の「構造体レイヤー」により思考の選択肢を広げる住宅。
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