2023/11/14
【設計事務所のデザインコラム】#13売れない商品、造ってみた(キャンプ道具)vol.1/3
僕は建築以外にキャンプ道具のブランドもやっている。
これが・・・まぁ売れない。
この売れない商品開発をやってる意味や売れない商品自体の意味についてお話しようと思う。
僕のキャンプ歴はまだ浅い。数年前に起こった空前のキャンプブームの後半からスタートした組だ。もともと料理が好き、自然が好き、読書が好きということで、「これってキャンプが最適じゃない?」と思い、試しにやったらドはまりした。
ただ初キャンプで思ったこと。
ベテランキャンパー達はニッチなブランドの道具を使い、有名ブランドを使っている初心者に対してマウントをとっている姿だ。そしてライターで火起こししている姿に「ダサい」というレッテルを貼る。(後でわかったことだが、ホントにごく一部の人がそういう思考を持っているだけだったけど)
たまたまだったとは思うけど、僕にはキャンプというものを深堀りする良いきっかけになった。
根本として「自然を感じてリラックスする」と位置付けた場合、火がつかず、子供に急かされながら必死に火起こししているお父さん、うまくタープが組み立てれず、喧嘩してるカップル・・・
この光景はあきらかに不健全だ。
もっとシンプルに、もっと楽にキャンプを体験して、自然の良さや外で食べるご飯のおいしさを味わった方が良くない?って思い、僕の造りたい欲求が高まった。
最初はス○ーピークの道具を使い、そこから100均だけで買い集め、最終的に自分が欲しいものを造るという選択肢になった。
ごく一部の悪意あるベテランキャンパーが、
「そんな道具見たことない!」という道具。
自然を楽しむ前に疲れてしまう初心者キャンパーが、
「マウントを取られず、まずはゆったりできるキャンプ道具。
テントを立てて、おいしい料理を作ることを義務付けられたキャンプ初心者の思考を緩める商品を造ろうと・・・
モックバーガーセット
「キャンプ場でハンバーガーを食べるためだけに作られたサイドテーブル」
コンセプト
キャンプ場に行く前に、マックのドライブスルーに行きたくなるじゃないですかぁ。
そこでビッグマックとポテトのMを頼むと思うんです。
キャンプ場は山の中なので街から10分はかかると思うです。
その間にポテトの独特の匂いが車の中に充満すると思うんです。
我慢せずにちょっとつまみ食いしましょう。
そしてキャンプ場についたら、テントもコンロも出さずにまずはこのサイドテーブルを組み立てましょう。
バンズやパテが回転式でテーブルになるんです。
そして車でつまみ食いしたポテトのMサイズが残り3分の2くらいになってると思うんです。
ポテトがちょうど3分の2になった時にすっぽり入るポテトケースにポテトを入れましょう。
頑張りすぎず。時間に追われず。固定観念を外す。
キャンプは自由だ!
これが以前一瞬はやった音声SNS「クラブハウス」で僕がずっと話しまくったピッチだ。
この商品は一部建築現場で出た廃材からつくられている。
環境に配慮しながら、初心者キャンパーも頑張りすぎず、もっと自然を楽しみ、自然の大切さを感じてほしいという想いを込めた。
「NOT CAMP」というブランド名で展開しているのだけど、うちの商品は今の高性能のキャンプ道具の真逆をはしっている。
なにしろ重い。
そして組み立てづらい。
一応「高性能プロトタイプ」という位置付けをしているので、本当に理解ある人にしか売らない。というかまぁまぁ高いから売れるわけない。
ただこの商品のピッチをすると初対面の人でもだいたい笑顔になる。
そしてキャンプ場でこれを使うとだいたい二度見される。
僕が深堀して考えた「頑張りすぎず、自然を楽しみ、自然を愛し、自由に過ごす」という個人的なキャンプの定義を伝えるために、お金も時間も手間もかけて世に出した。
それは人を笑顔にすること、会話のネタになりコミュニケーションの活性化を図ること、自由な考えをもってもらうこと、自然を愛すこと。
空間デザインのアプローチと全く同じだ。
売れる商品は価値があるのは当たり前。
ただ「売れない商品」に価値が無いとは思わない。
記憶に残る商品であれば、それは「価値」に繋がる。
びっくりすることに、
発売前のモックバーガーをインスタに上げたら、1万いいねをもらえた。
ただ人様のプロダクトや設計ではやらない。
売れない見込みが立っているプロダクトは僕と僕の仲間だけでやる。
5%の需要にのみ対応するアウトドアブランド「NOT CAMP」
もちろん赤字だ。
今回はここまで。
続きはvol.2でお話します。
ありがとうございました。
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